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コタエルコラム

#信託型ストックオプション

#税制適格ストックオプション

退職者へ信託型ストックオプションを付与できる条件とは

2023.04.03

近年のスタートアップ企業のなかには、退職者もストックオプションの権利行使を可能にする企業が増えてきています。
信託型ストックオプションにおいても、退職者へストックオプションを付与することができるのかについては、様々な意見や見解がございますが、当社サービスをご利用しているお客様に向けた当社の見解をご案内いたします。

信託型ストックオプションにおいて、信託している信託財産(新株予約権等)を退職者に渡すことも不可能ではありませんが、専門家等と慎重に検討を重ねた結果、当社としては「取崩し交付タイプ」でのご契約を前提として、退職直後の受益者指定日に受益者指定を行う場合のみ可能であると考えております。
 
この見解の根拠として、そもそも信託型ストックオプションのベースとして「法人課税信託」(法人税法第2条第29号の2(ロ))という税制が活用されていること、またこの税制は信託ごとに「受益者等が存するか」否かというゼロイチで税制の適用の有無が決まってくることがあります。
 
信託型ストックオプションは、受益者指定をするまでは受益者が決まっていないことが前提となっています。しかしながら退職者のような、退職後に何ら発行会社に対して貢献を行わない者に対して受益者指定が行われる場合、退職時点で受益者が事実上決まっていたとみなされる可能性が高く、その時点で法人課税信託が終了していたと認定されるリスクも否定できません。
これに対し、「取崩し交付タイプ」では受益者指定のタイミングが頻繁に発生しているため、退職時点ではなく退職直後の受益者指定のタイミングに、退職していない役職員も含めて受益者指定が行われたと判断するのが妥当であるため、そのようなリスクは限定的であるものと認識しています。
 
以上の理由から、特段の事情がない限り、退職者に対しては「取崩し交付タイプ」をご利用いただき、退職直後に受益者指定を行う場合に限り交付可能であるものと考えております。
 
なお、2023年5月(最終改訂版2023年7月)に国税庁が公開した「ストックオプションに対する課税(Q&A)」により、税制適格ストックオプションの要件を満たさない場合は税制非適格となり、権利行使時に給与所得課税が生じることになりましたので、注意が必要です。
信託型ストックオプションにご関心がありましたら、こちらから資料請求をしていただくか、お問い合わせフォームからご連絡いただけますと幸いです。

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ご注意ください。

昨今、当社の提供する信託型ストックオプション「時価発行新株予約権信託®」に類似する商品の導入を勧める業者・専門家が増えております。信託型ストックオプションであるオプションプール信託®や時価発行新株予約権信託®、1円ストックオプション信託®のほか、有償ストックオプション信託®、譲渡予約権信託®、コール・オプション信託®は当社グループの登録商標であり許諾なく第三者が使用することはできません。
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